フォルクローレの楽器
フォルクローレで使われる楽器を紹介していきます。
【ケーナ】
フォルクローレと言えばこの楽器でしょう。よく日本の尺八に似ていると言われます。
太い葦(あし)に指の穴を開け、歌口を削っただけの単純な楽器ですが、3オクターブ以上の音が出せます。日本人がイメージする葦よりもだいぶん太く、竹と言った方がいいかもしれません。実際に日本の竹で作っている方もいます。
また古くから骨製や鉄製、最近は木製やプラスチック製のものも多く、近年の主流は黒檀やハカランダなどの木を使ったものです。
【サンポーニャ】
実にエスニックな見た目が楽しい楽器です。これも作りは単純で、下が閉じた葦(あし)の筒をたくさん並べてあります。各筒によって出る音が違います。
2列または3列並べるものが主流で、1列目はド・ミ・ソ、2列目はレ・ファ#・ラのように並んでいます。3列目には半音を並べます。
本来は1列目と2列目を違う奏者が持ち、コンテスタード(掛け合い)と呼ばれる吹き方で、二人でひとつのメロディーを奏でる楽器でしたが、現在は主に一人でメロディーを吹きます。
今でもコンテスタード奏法を使った曲も多く見られ、一人では再現できない迫力があります。
【ギター】
あれ?ギター?と思われるかもしれません。
日本でクラシックギターと言われるタイプのギターです。主にコードストロークを担当し、ベース的な役割も果たします。
リズムの核となるのはギターなので、これなしでフォルクローレは語れません。
よくパーティーなどでギターが弾ける人がいると、ギタレアーダと呼ばれるギターを囲んでみんなで歌って騒いで・・・ということになります。
日本ではわざわざフォルクローレでギターをやる人が少ないのですが、一番大事な楽器なので、どんどん増えていって欲しいところです。
【ベース】
エレキベースです。最近のフォルクローレには欠かせません。ディスコテカ(ディスコ)では踊ることが目的なので、とにかく大音量で音楽を流します。
その時に、低音が身体にズーンと響かないとなかなか気分が高揚しないものです。つまり、いいリズム隊(ドラムとベース)がいると自然と踊りだせる音楽になるのです。
フォルクローレは単調なベースパターンのものも多いですが、よくよく聞くと複雑なテクニックを駆使している人も結構います。
ちなみにボリビアではロックあがりよりも、ジャズあがりのベーシストが多くいます。
【ドラム】
これも今どきのフォルクローレには欠かせません。昔は後述する「ボンボ」という太鼓が多く使われていましたが、今は迫力の出せるドラムが重宝されます。フォルクローレは結構複雑なリズムが多いので、ドラム経験者でもすぐに叩けるというものではありません。
こちらもジャズあがりのドラマーが多く、かなり小技を使ったフレーズが多く見受けられます。
【ボンボ】
なめしていない皮を両面に張った太鼓で、実に素朴な響きがします。最近はチャコ地方などの音楽を除いて出番が減ってきていますが、聞かせるインストの曲などには欠かせません。
基本的には太鼓の面(ドン)と枠(カッ)の二種類を使い分けます。
桶のように板を曲げて作るボリビア型と、一本の木をくり抜いて作るアルゼンチン型があります。
【チャフチャス】
羊の爪を束ねた楽器です。木の実や貝殻を束ねた同様の楽器は世界中によくありますが動物の爪というのはちょっと珍しいかもしれません。
素朴な作りなので古くから伝えられてきた楽器のようですが、実は20世紀半ばに活躍した、「現代チャランゴの父」と呼ばれるマウロ・ヌニェス氏が発案した楽器のひとつです。
管楽器の人は休みの場面が多く手持ち無沙汰なので、よく吹いていないときにこのチャフチャスを振っていることが多いです。
見た目では分かりませんが、実はタイミングよく鳴らすのが難しい楽器でもあります。
桑原健一
日本で数少ないプロ・チャランゴ奏者 1983年生まれ。2018年末まで合計10年間ボリビアで音楽活動をしていた。 2017年にはアイキレ国際チャランゴコンクール国際部門金賞受賞。 現在は日本初のチャランゴ系YouTuberとしても活動中。 現・東京リャマ計画、3人アンデス。 元・ワイラ・ハポナンデス、チュパイチャキス。